【意味】
塗炭の苦しみ(とたんのくるしみ)とは、泥や火の中にいるようなはなはだしい苦しみのこと。
【名前の由来語源・成り立ち】
塗炭の苦しみ(とたんのくるしみ)の名前の由来語源ついて、「塗」は泥の水を意味し、「炭」は火の意味である。つまり、まるで泥水にまみれて炭火で焼かれるような、大変な苦痛をさす。
出典は、中国の『書経(しょきょう)』で、「有夏昏徳にして民塗炭に墜つ(夏の傑王は、不徳の暴君だったので、人民は泥にまみれ火に焼かれるような苦難を味わった)」という基づいている。
なお日本で「塗炭の苦しみ」の形が見られるのは江戸の後期からである。
【使い方・用例・実例】
*淡窓詩話〔19C中〕上「乱離の詩を読めば、蒼生塗炭の苦を知る」
*歌舞伎・音響千成瓢〔1876〕三幕返し「又万民が塗炭(トタン)の苦(クル)しみ見るに忍びず」
【漢字辞典】
「とたんのくるしみ」を漢字で書くと「塗炭の苦しみ」と表記する。