【意味】
①事態が悪くなること。
②演劇で幕を下ろさず、舞台を暗くして場面転換をすること。転じて、事件、情況などが暗い方向に転換することもいう。
【語源・由来】
暗転の語源・由来について、英語dark changeの訳語。本来は、幕を下ろさずに、舞台の照明を暗くして、場面を転換させることをいう。
西洋の演劇等の知識は、幕末、明治初期から漸次導入されたが、新劇に代表される西洋近代の演劇が本格的に日本に導入されたのは、明治後期からである。新劇の演出技法の一つとしての「暗転」も、新劇の隆盛と共に一九二〇年代以降、一般化した。
【使い方・実例・用例】
*浅草紅団〔1929〜30〕〈川端康成〉一一「十一景のヴァラエティが、さうだ、踊子達は舞台の袖で、乳房を出して衣裳替へする程、あわただしい暗転(アンテン)だ」
*彼女とゴミ箱〔1931〕〈一瀬直行〉割引レビュー松竹座「舞台は再び暗転(アンテン)して、次の景に移っていった」
*自由学校〔1950〕〈獅子文六〉彼女がそう叫ぶには「娘時代に、父が疑獄事件で失脚したのが第一幕の暗転」
【漢字辞典】
「あんてん」を漢字で書くと「暗転」と表記する。