【意味】
春・秋に着用する、裏地付きの和服のこと。
近世では陰暦四月一日より五月四日まで、および九月一日より八日まで、これを着るならわしであった。現在では、秋から冬を通して春まで着る。あわせのきぬ。あわせのころも。あわせぎぬ。あわせごろも。⇔ 単(ひとえ)
【語源・由来】
あわせ(袷)の語源・由来について、本来は表だけの一枚の衣である「単(ひとえ)」に対して、裏を合わせることから裏付きの衣を「袷(あわせ)」と呼んだ。
平安時代から「あわせのころも」、「あわせのこそで」などの表現もあったが、単に「あわせ」で裏付きの小袖一般をいうようになる。
室町時代頃は特に綿入れを小袖と称したので、綿の入っていないものを袷と呼んで区別した。
【実例・用例】
*紫式部日記〔1010頃か〕寛弘五年九月一五日「殿上の四位は、あはせ一かさね、六位は袴一具ぞ見えし」
*幼学読本〔1887〕〈西邨貞〉二「春、秋のころ、時候のほどよき時には、あはせを着る」
【漢字辞典】
「あわせ」を漢字で書くと「袷」と表記する。