東風【こち】

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【意味】

東風(こち)とは、東の方から吹いて来る風。特に、春に吹く東の風をいう。「あゆ、こちかぜ、とうふう、とんぷう、はるかぜ、ひがしかぜ」とも読む。

【語源・由来・成り立ち】

東風(こち)の語源・由来について、春を運ぶ風として和歌などに盛んに用いられた雅語(がご:みやび言葉)である。かつて春は東風に乗って訪れると考えられていた。

「こち」と呼ぶのは、瀬戸内海の漁師言葉だとする説がある。瀬戸内には、「鰆(さわら)ごち」「雲雀(へばる)ごち」「梅ごち」「桜ごち」「こち時化(しけ)」といった「コチ」を含む言葉がある。もっとも東風時化の言葉があるように、漁師からすると東風は荒れる風の意味が強いようで、あまり歓迎される風ではないとされている。

【実例・用例】

*俳諧・太祇句選〔1772〜77〕春「東風吹とかたりもぞ行主(しゅう)と従者(ずさ)」

*俳諧・蕪村句集〔1784〕春「のうれんに東風吹いせの出店哉」

【漢字辞典】

「こち」を漢字で書くと「東風」と表記する。

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