【意味】
くしゃみとは、ハクションと息を急激に吐き出すこと。「くさめ」の変化した語。
【語源・由来・成り立ち】
くしゃみとの語源・由来について、「くさめ(嚔)」が変化した語であり、くしゃみをしたときに唱える呪文から生じたとする説がある。当時は「早死にをしないために唱える呪文」と、とらえられていた。
有名なのが、徒然草の一コマで、年老いた尼が「くさめ、くさめ」と呪文をとなえる場面。そのように唱えなければ死んでしまうとの記述がある。
<徒然草(第四十七段)の現代語訳>
ある人が清水寺に、お詣りに出かけた。一緒についてきた年寄りの尼さんが道すがら、「くさめ、くさめ」と言い続けてやめない。「婆さんや、何をそんなにのたまわっているのだ」と尋ねても、老いた尼さんは返事もせず、気がふれたままだ。しつこく尋ねられると、老いた尼さんも逆上して、「ええい、うるさい。答えるのも面倒くさい。くしゃみをしたときに、このまじないをしなければ、死んでしまうと言うではないか。あたしが世話した坊ちゃまは賢くて、比叡山で勉強しているんだ。坊ちゃまが、今くしゃみをしたかも知れないと思うと気が気でないから、こうやってまじないをしているのだ」と言った。
【使い方・実例・用例】
*黄表紙・江戸生艷気樺焼〔1785〕上「艷二郎くしゃみをするたび、世間でおれが噂をするだろうとおもへども」
*満韓ところどころ〔1909〕〈夏目漱石〉六「どうも嚔(クシャミ)が出てと、手帛を鼻へ当たが」
【漢字辞典】
「くしゃみ」「クシャミ」を漢字で書くと「嚔」と表記する。