【意味】
おさんどん(御三どん)とは、台所での仕事。江戸時代には、台所で下働する下女の通称でもあった。
【語源・由来・成り立ち】
おさんどん(御三どん)の語源・由来について、「さん」は数字の「三」。三女の意で、当時の女性の名に多かったことからとも、大奥で下女のいる三の間にちなむともいわれている。その「三」に接頭語の「お」と、人を呼ぶときの接尾語「どん(殿の音変化)」が付いたもの。もとは上方で用いられていた言葉が江戸語に入ったとされる。
「随筆・皇都午睡‐三・中」の諸品の変名の条に、江戸と上方とを対比して「下女の通り名をお三どんといふ。是は上方で宵から睡るお清どんの類也」とあるように、近世末期頃には、上方ではむしろ「おきよ(どん)」という言い方が普通で、「おさん(どん)」はもっぱら江戸で、しかも下女の意味に限定して用いられる言い方になっていたことがうかがえる。
【実例・用例】
*鳩翁道話〔1834〕二・上「おさんどん、御まへの鼻のさきに墨がついてある。見とむない」
*浮雲〔1887〜89〕〈二葉亭四迷〉二・七「お乳母(うば)も出た、お爨婢(サンドン)も出た」
【漢字辞典】
「おさんどん」を漢字で書くと「御三どん」「御爨どん」と表記する。