【意味】
総領の甚六(そうりょうのじんろく)とは、長子は次子以下にくらべて俊敏でないの意。長男または長女は、大事に育てられるので、弟や妹にくらべるとえてしてお人好しで愚鈍だということ。
【語源・由来・成り立ち】
総領の甚六(そうりょうのじんろく)の語源・由来について、「総領」は長男をさす。
もともと総領は大和朝廷の時代に地方をおさめるための官僚で、地方の大国に置かれ、数カ国を支配した。武士が台頭すると、家の子・郎党を支配する最上位の者をさし、多く嫡子をこれに任じた。ここから長男の意味が生じた。
「甚六」は、ろくでなしやお人好しの意味である。
【使い方・実例・用例】
*滑稽本・浮世床〔1813〜23〕初・上「『さういふな。兄弟子だぞ』『惣領(サウレウ)の』『ヲット表徳は甚六(ジンロク)だらう』」
*人情本・仇競今様櫛〔1830〜33〕初・一回「兄貴は惣領(ソウリャウ)のソレ甚六(ヂンロク)だらう」
【漢字辞典】
「そうりょうのじんろく」を漢字で書くと「総領の甚六」「惣領の甚六」と表記する。