棚引く【たなびく】

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【意味】

棚引く(たなびく)とは、雲や霞が薄く層をなして横に長く引くこと。とのびく。

【語源・由来・成り立ち】

棚引く(たなびく)の語源・由来について、言葉の構成を分解すると「た─なびく(靡)」で、動詞「靡(なび)く」に接頭語「た」を冠したものとも、「たな─ひく(引)」で、タナは、トノと語源的に通じる接頭語であり、「たな─霧らふ」「たな─曇る」「たな─知る」などと同じタナであって、十分の意といわれる。

過去の用例の文脈から推すと、後者が妥当とされる。「万葉集」には「棚引」「棚曳」と当てた用例があり、当時すでに棚のように水平に長く引く意に解していたようである。

【実例・用例】

*源氏物語〔1001〜14頃〕明石「塩やく煙かすかにたなびきてとりあつめたる所のさまなり」

*太平記〔14C後〕三九・自太元攻日本事「諏防(すわ)の湖の上より、五色の雲西に聳(タナビ)き、大蛇の形に見へたり」

【漢字辞典】

「たなびく」を漢字で書くと「棚引く」と表記する。

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