【意味】
丹前(たんぜん)とは、防寒着の一種。厚く綿を入れた広袖(ひろそで)風のもので、衣服の上に着るもの。「丹前姿」から起こったという。上方の風俗。
【語源・由来・成り立ち】
丹前(たんぜん)の語源・由来について、江戸時代初期に、堀丹後守(ほりたんごのかみ)の屋敷前にあった湯女(ゆな)風呂を「丹前風呂」といった。
湯女は風呂屋で客の背中を流したり、相手をしたりする女性のことで、勝山という湯女を目当てに風呂に通う男たちの装いを「丹前姿」「丹前風」といったことに由来する言葉。
【使い方・実例・用例】
*随筆・守貞漫稿〔1837〜53〕一三「丹前 〈京阪の服名、どてら、江戸の服名也。ともに下民の略服也〉〈略〉丹前と云どてらと云服、寒風の時専ら衣服の表に重ね着し、或は帯後にはをる」
*虞美人草〔1907〕〈夏目漱石〉三「貸浴衣の上に銘仙の丹前(タンゼン)を重ねて」
【漢字辞典】
「たんぜん」を漢字で書くと「丹前」と表記する。