【意味】
全然(ぜんぜん)とは、余すところのないさま。全くそうであるさま。
【語源・由来】
「ぜんぜん」という文言は、もともと近世後期に中国の白話小説から取り入れられ、当時は「まったく」というルビを付けて用いられていた。
明治期に入っても、小説では「すっかり」「そっくり」「まるで」「まるきり」などのルビ付きで用いられていることが多い。二葉亭四迷「浮雲‐二・八」の「全然(スッカリ)咄して笑ッて仕舞はう」、尾崎紅葉「金色夜叉‐前・六・二」の「此家は全然(ソックリ)お前に譲るのだ」などである。漢語「ぜんぜん」が一般化するのは明治三〇年から四〇年にかけてである。
上に挙げた例のルビでもわかるように、「全然」は「すべてにわたって」「残るところなく」「全部」というような意味で、もともとは肯定表現にも否定表現にも使うことができた。否定表現との結びつきが強まるのは大正末から昭和にかけてである。
【漢字辞典】
「ぜんぜん」を漢字で書くと「全然」と表記する。